研究・業績

臨床研究(オプトアウト)

当科で行なっている臨床研究をお知らせします。
金沢医科大学では、研究倫理審査委員会の承認を得て、研究機関の長の許可のもとに下記の臨床研究を実施しています。
患者さん又は患者さんの代理の方が、以下の研究のために患者さん本人の情報等を使用・提供されることにご了承いただけない場合は、問合せ先までご連絡ください。情報の使用等についてお断りになられても、患者さんに不利益となることはございません。

研究テーマ

  • HPV関連腫瘍組織中のHPV型の同定とその周囲組織の免疫応答

    本研究の第一の目的は、主に子宮頸癌とその前癌病変及びそれ以外の臓器のHPV関連腫瘍の病理標本から標的となる組織部分(病理標本)のみを切り出(Micro-dissection法)、それらの組織 中に存在するHPV型を高感度のPCR法で同定して原因となるHPV型を明らかにすることです。また細胞診結果と組織診結果で乖離がみられる症例については、各組織中のウイルスコピー数の定量化やHPV遺伝子変異の有無なども解析します。この研究については、子宮頚部擦過生検体をも用いることもあります。第2の目的は、子宮頸癌及びその前がん状態にあるHPV関連組織の周囲の免疫環境を調査することです。
    前癌病変周囲組織に免疫マーカーに対する免疫組織染色を施し、そこで誘導されている免疫応答を推定することが可能であるため、この方法で組織毎、あるいはHPV感染の有無と免疫応答の差について調査することです。

  • ヒトパピローマウイルス(HPV)関連病変に対する
    トリクロール酢酸(Trichloroacetic acid)療法の有効性と宿主免疫応答の研究

    HPV感染関連病変に対するTCA療法の安全性と有効性を明らかにします。また治癒過程における免疫や微生物の関与について明らかにします。

  • ヒトパピローマウイルス(HPV)関連病変に対するフェノール治療の有効性と
    宿主免疫応答(R107)の検体を用いた微生物解析研究

    以前、我々は「ヒトパピローマウイルス(HPV)関連病変に対するフェノール治療の有効性と宿主免疫応答(R107)」の研究を行ないました。フェノールの治療効果は、ほとんどの子宮頸部前癌病変に有効であることが判明しました。一方で、フェノール治療に抵抗性を示す患者さんの存在も明らかになりました。我々は、フェノール治療が奏功した患者さんと抵抗性を示した患者さんの背景には、免疫力の違いや腟内細菌叢の違いがあるのではないかとの仮説を立てました。フェノール治療前後の腟内細菌叢を解析すれば、フェノール治療が奏功した患者さんと抵抗性を示した患者さんの細菌の違いを明らかにできるのではと考えます。子宮頸部前癌病変の進行・消退に影響を与える腟内細菌の同定ができれば、将来のプロバイオティクス治療につながることも予想されますし、本研究の社会的意義は高いです。

  • 新規ヒトパピローマウイルス遺伝子検出試薬の臨床性能評価試験

    本研究では、ハイリスクHPV(1:HPV16/18型と2:その他のハイリスクHPV型)だけでなく、「ハイリスクHPV候補群」を含めた新規HPVスクリーニング検査法を樹立して、その有用性を検証することを目的としています。

    意義
    HPVワクチンの普及によってHPV16/18型感染が減ってくると、その他のハイリスクHPV型や「ハイリスクHPV候補群」の感染率が増加する可能性があります。しかし、従来のHPV検査では「ハイリスクHPV候補群」の検出はできません。本検査法が確立すれば、ヒトにとって危険なHPVを1:HPV16/18型や2:その他のハイリスクHPV型だけでなく、3:「ハイリスクHPV候補群」に分別して簡便に検出できます。本研究は子宮頸がんの死亡率低下につながる新たな子宮頸がん検診方法の確立につながることが期待されます。
  • 婦人科悪性腫瘍登録事業及び登録情報に基づく研究

    子宮頸癌、子宮体癌、卵巣・卵管悪性腫瘍、卵巣・卵管境界悪性腫瘍、腹膜癌、外陰癌、腟癌、子宮肉腫、子宮腺肉腫、絨毛性疾患症例の臨床情報を収集し、そのデータを用いて①わが国における婦人科がん(子宮頸癌、子宮体癌、卵巣悪性腫瘍、卵巣境界悪性腫瘍、外陰癌、腟癌、子宮肉腫、子宮腺肉腫、絨毛性疾患)の進行期・病理学的分類、②診断・治療の実態、③治療成績(5年生存率)、④登録罹患数や治療指標などの年次推移を解析、公表し、婦人科癌患者の医療・福祉に貢献することを目的とする。 そして、登録情報は、日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会および臨床研究審査小委員会で承認された研究において二次利用されることにより、国内の臨床研究や国際比較研究の発展につながるものとなる。本研究の基盤となる登録事業は、婦人科がんに関する国内唯一の臓器がん登録であり、この研究を通しわが国の婦人科がん及び婦人科がん医療の特徴と海外との共通点・相違点等を明らかにしてゆくことは、今後ますますその必要性・重要度を増していくものと考えられる。

  • 日本産婦人科内視鏡学会における手術および合併症登録

    今回の研究は、日本全国の産婦人科内視鏡下手術の現状の把握、および適正な医療水 準の維持のために全国調査を行います。この研究は、これまでの診療でカルテに記録されている、病名、手術名、手術時間、出血量、入院期間、血液検査、病理検査などのデータを収集して行う研究です。特に患者さんに新たにご負担いただくことはありません。患者さんの手術、治療に関する情報は、個人を識別できる情報を除き、新たな符号をつけ、どなたのものかわからない形式で、日本産科婦人科内視鏡学会に報告します。この研究のためにご自分のデータを使用してほしくない場合は主治医にお伝えください。ご連絡をいただかなかった場合、ご了承いただいたものとさせて頂きます。データの解析結果は、個人が特定出来ない形式で日本産科婦人科内視鏡学会、その他の学会等で発表されます。収集したデータは厳重に管理されます。日本産科婦人科内視 鏡学会にて承認された臨床研究において、データベース上のデータを新しい解析に用いられることがあります(データの2次利用)。

  • 早期子宮体癌に対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術におけるアドスプレー®使用による
    有害事象に関する後向き・前向き観察研究

    子宮体癌に対する腹腔鏡下手術の合併症の頻度を調べることを目的としています。そして、ここで集められた情報をもとに、これから腹腔鏡下子宮手術が行われる患者さんの中で、癒着防止吸収性バリア・アドスプレー®が使用された 患者さんの合併症の頻度を比較検討するための基礎データとして使用させて頂きます。

  • 石川県と日本の婦人科がんの動向調査

    がん検診はワクチンや健康的な生活習慣と同様にがんの予防のために欠かせません。ただし精度管理されたがん検診の実施にはがんの死亡率、罹患数、進行度、生存率の把握が必要です。今回の研究では、石川県で発症した婦人科がん患者を対象として、過去20年の院内のデータと日本産科婦人科学会と国立研究開発法人国立がん研究センターに登録されているデータベースを使用し、婦人科がんの動向を他県と比較することで検証します。

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